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2026年7月になりました.最近は人口が減少していることを度々感じるようになってきました.世界的に人口は減っています.少子化を何とかしたいと政府も自治体も個人も考えるようになっていますが,あまり上手くいっていないのが現状です.現在の出生率のまま推移すれば,日本に明るい未来はありません.「果てしない縮小」の過程を辿ることになります.中国や韓国は日本以上の急激な人口減少が訪れます.最新の合計特殊出生率(2025年)は日本が1.14ですが,韓国は0.8,中国も1.0くらいになっています.
現在、世界で人口増加を牽引しているのは、主にサハラ以南のアフリカ諸国や中東の一部ですが,これらの国は,女性を「男性の所有物」あるいは「家系の存続のための道具」とみなしている地域です.私たちは女性の権利や自由を完全に保障した上で,なお『子どもを産み育てたい』と思える環境を作る必要があります.人権侵害を前提とした「高出生率」を文化とする人々を移民として受け入れる事は出来ません.
私は子どもを育て,彼らが大きくなっていく過程を記憶していますが,それが人生における大きな宝であったように今では感じています.しかし,それが分かるのは,生殖年齢を遙かに過ぎた後である事が今の私には分かっています.このことを若いうちに理解できるようにしておくことも重要だと思います.
しかし,現代の若者を取り巻く環境では,子育ての「楽しさや精神的報酬」よりも,「リスクやコスト」のほうが先に目に入ります.人権を守り、自由を保障した社会(先進国)において、最後に若者を「出産・子育て」へと動かすのは、強制ではなく「やってみたい」という自発的な動機です.
昔の人間の多くは,乏しい資産の中で子育てしてきました.しかし,現在は資産をある程度持たなければ,子育てどころじゃない,という感覚が生まれてきました.
労働に対する対価は,労働者が生きるためと,次の労働のための休息を確保するためと,次の労働者を再生産するための資源を得るため,の合計分くらいは最低必要です.これは,アダム・スミスやデヴィッド・リカード,カール・マルクスが定義した「労働力の再生産コスト」に示されています.
1.労働者が今生きるためのコスト(日々の食料、衣服、住居などの必需品)
2.次の労働のための休息(回復)コスト(心身の健康を維持し、明日も同じように働けるようにするための余暇や医療)
3.次の労働者を再生産するコスト(子どもを産み、育て、将来の労働力として社会に送り出すための子育て・教育費)
「普通に働いていれば,次の世代(子ども)を育てるための資源も給与に含まれているはず」というのが基本原則でなくてはなりません.
しかし現代,特に日本などの先進国では,この「労働力の再生産コスト」が急激に上昇し,「日々の労働対価(フローの給与)だけでは賄えず,過去の蓄積(ストックの資産)を取り崩さなければ子育てに参入できない」という異常な事態となっています.
理由は次のようになります.
① 教育や生活水準の「高度化」によるコスト暴騰
② 「r>g」による、労働者と資産保有者の格差拡大
「労働で得る賃金の伸び(g)」よりも「資産が資産を生むスピード(r)」のほうが圧倒的に早い.
③ 労働対価における「再生産コスト」の切り捨て
現代の企業競争や雇用の流動化(非正規雇用の増加など)の中では,労働対価の計算から「次の労働者を再生産するコスト(家族を養うための原資)」が抜け落ちています.
先進国の労働者は「父親の片働き(1人の労働対価)だけで家族全員を養い、次世代を再生産できた時代」から、「共働き(2人の労働対価)でも生活に余裕がなく、子育てを躊躇する時代」を生きなくてはならなくなっているのです.
現在生じていることは,少数の裕福な資産家に多くの富が資産という形で蓄積され,多くの人々,大衆の取り分が小さくなっているという事実に起因します.人類の蓄積した資産は大きくなっているのに,次世代再生産を行う大衆の資産が極めて乏しくなっているのです.
つまり,本来次世代再生産のための原資の分配が,再生産をおこなう人々に行き渡らなくなっているのですが,この流れは,資本主義の性質によるものです.
資本主義自体の作り出す『大衆の再生産基盤の崩壊』という内的矛盾によって,資本主義存続の『前提条件(労働力の再生産)』が崩壊に直面しています.
資本主義の終焉は,革命による打倒ではなく,「買い手と働き手を自ら絶滅させたことによる静かな自滅」という形で訪れることが予想されます.
アダム・スミスの『道徳感情論』という書物があります.多くの人は彼を「市場放任主義,弱肉強食のすすめ」を説いた人物だと解釈していますが、スミス自身が最も重要視したのはデビュー作である『道徳感情論』であると思われます.彼にとって『国富論』は道徳感情論という巨大な土台の上に構築された応用編に過ぎないのです.結局,スミスが言った「見えざる手」による市場の調整力は,「他者への共感とルールを守る正義」が社会にあらかじめ共有されていることが大前提なのです.
そこで,現在,手詰まりにも感じられる少子化の問題に対する解決策のひとつとして,提案したい政策があります.
国民再生産信託(ナショナル・リプロダクション・トラスト)制度
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