produced by 平野宏文 Hirofumi Hirano a neurosurgeon, to communicate with his patients and friends

脳神経外科医 平野宏文のサイト

脳神経外科医 平野宏文のウェブサイトです. 医師として,また,個人として,私と関係ある人々とのコミニュケーションを図るための場所です.                            脳神経外科に関連する疾患についても記載していこうと思います.

めまい 体験談
一週間ほど前,朝目覚めて,寝返りを打ったら,視界が斜めに動き始めて,目眩が生じていることに気がついた.右に寝返っても左に寝返っても目が回るのであるが,頭の動きを止めると数秒で目眩も止まる.
車を運転できるかと心配したが,頭を振り回さなければ大丈夫であった.仕事が終わって,自宅に帰ってきても,臥位から頭部を左右に動かすと目眩が生じた.
良性発作性頭位めまいである.頭の動きを止めると速やかに目眩も止まるので,半規管の中に耳石が剥がれ落ちたのだろうと思った.

三半規管のうち,後半規管に浮遊耳石が生じることが最も多く,後半規管内の耳石を前庭に移動させると目眩は良くなると言われている.その後半規管内の耳石を退かす方法として,エプリー法というのがある.

数年前にめまい研究会で,耳鼻科の先生が,この方法で良くなった患者のことを発表していたのを思い出したが,その方法はよく分からなかったので,インターネットで調べてみた.すると詳しく説明してくれている耳鼻科の先生のページが見つかった.野上耳鼻咽喉科医院のサイトである.後半規管は耳介と同じ向きになるらしい.

良し,早速,治療してみるか,とエプリー法のやり方を記憶した.風呂上がり,食事前である.食前にやらないと,食後では嘔吐してしまう危険性がある.ベッドで仰臥位になり,枕を肩下に入れ,「? 左右どちらの半規管の治療をすれば良いのだ? 私の目眩の原因は右なのか左なのか?」

私は左に傾いたときに目眩が出ていたので,自分で左が悪い,と決めつけていた.そこで,ゆっくりと左用のエプリー法を行った.頭を回す度に,グラングランと世間が揺れた.1回目の処置が終わって,まだ目眩が残っていたので,2回目を実施した.少し良くなったような気がしたが,まだ目眩が残っていた.
この手技は,頚の悪い人は行ってはいけないと書かれていたし,自分で勝手にやらないようにとも書かれていた.
だが私は,1人で寝室で行ったのである.
2回目が終了して,結果に不満であった私は,次に右耳用のエプリー法を行うことにした.左耳が悪いと決めつけていたが,右かもしれないではないかと.

そして,右耳用の手技を行ったところ,手技中に非常に強い目眩が生じた.この手技が終わった時には,座位になるのが難しかった.何とかこらえて座位まで到達し,目眩が治まるのを待った.そして目眩が治まった後,むかむかとした嘔気がおそってきた.私は何とかしかるべき場所にたどり着いた.幸い胃の中が空っぽであったので,少量の胃液のみで終了した.

3回目の手技の後の目眩の状態は2回目の手技が終了したときと変わらなかった.治療前より軽くなっていたが,左に傾くと目眩は誘発される状態だった.
ところが,一連の手技による強い目眩による嘔気のためか,その夜は食が進まず,いつもの1/5も食べられなかった.

この目眩は完全に消失するまでに1週間ほどかかった.普通に仕事もできたのであるが,左下にあるものを拾おうとするとクラクラする状況が暫く続いたのである.

転がった耳石のかけらは徐々に吸収されていくのであろうか.だから徐々に症状が軽くなっていくのであろうか.
いつも患者さんに点滴や飲み薬を出しているが,自分では薬も使わずMRIも撮らず,自分を観察していた.

どちらの耳が悪いのか,どうやって決めるのか,であるが,私の直感は正しかったようで,英語のサイトに以下の記載を見つけた.


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Hirofumi Hirano MD, PhD, Department of Neurosurgery