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武漢で始まった新型コロナ:SARS-CoV-2によるコロナ肺炎(新型コロナウイルス感染症 COVID-19)の蔓延は未だにおさまらない.
ワクチンができてきたが,スパイクタンパクに対する抗体産生を誘導するワクチンはスパイクタンパクの変異が生じると効果がなくなる可能性がある.
考えてみれば,インフルエンザウイルスに対するワクチンも毎年作り直しており,良く効く年もあれば,効かない年もある.コロナウイルスは元々風邪を引き起こすウイルスの一つと認識されていたもので,たぶん今後,毎年違った抗原性のものが出てくる可能性が高いのだろう.
となると,現在ワクチンを打ったとしても,暫くすれば効かなくなる.
インフルエンザも暫く前まで,ワクチンしかなかったが,タミフルを始めとする抗インフルエンザ薬ができて,肺炎を起こすまで悪化する事が減っている.
一方,コロナウイルスに対しては,アビガンやイベルメクチンと言った日本でできた薬があるにも拘わらず,国から認可されず,日本国民は外国のワクチンを打つ順番を待っている.
ここにイベルメクチンの効果を示す報告がある.上の画像をクリックすれば論文にリンクされている.
バングラデシュで2020年の4月から6月にかけて325例の連続する患者のうち,他に合併症のない成人COVID-19患者248例のについての報告である.
115例にイベルメクチンを投与し,133例にはイベルメクチンを投与していない.イベルメクチンは入院後24時間以内に12mgを1回だけ投与している.
12mgという投与量は体重60Kgの場合の駆虫薬としての標準量であり,これまで普通に使われている量で,特別大量投与したわけではない.
以下にTable1に示されている結果の部分を示す.
左列のIvermectin – no. (%) イベルメクチン 数(100%)
とある方がイベルメクチン投与群で,右の - の列が非投与群である.
Antipyretic drugは解熱剤,
Antihistamine drugは抗ヒスタミン剤,
Antibioticは抗生物質
Required oxygen inhalationは酸素吸入が必要,
Developed moderate respiratory distressは呼吸困難になった,
Developed pneumoniaは肺炎になった.
Ischemic strokeは虚血性卒中,脳梗塞のこと,
Required intensive care managementはICUなどに入る必要があったこと
Duration of viral clearanceはウイルスが消失するまでの期間
Duration of hospital stayは入院期間
Recovered and dischargedは回復して退院した
Deathは死亡
以上をから,抗生物質投与が必要になる人が少なく,酸素吸入が必要になる事も少なく,肺炎,呼吸困難になることも少なく,ウイルスが早期に消失し,死亡者も少ない,という結果である.
この研究はProspective, double-blind, randomized, placebo-controlledの研究ではないが,治療前の患者の状態は2群の間に大きな差は無いようにみえる.
また,イベルメクチンによる大した合併症はなかったとのことである.
イベルメクチンによる,ウイルス増殖抑制に関しては,早くにin-vitro 試験管内の研究報告があったが,実際の生体での治療濃度にするためには,大量投与が必要になるのではないかとの見解もあった.しかし,実際に通常投与量でかなり良好な結果が得られている.このためには,早期投与が重要であると思われる.PCRでコロナウイルス感染が確認されたら,早々に内服するようにすれば,重症化することもなく,早期に回復すると考えられる.
日本の現状では,PCRでコロナ陽性になっても,病院やホテルや自宅で隔離するだけで,重症化しなければ治療していない.これでは,体内でウイルスが増殖するため,変異株の発生率が高くなってしまう.ワクチンだけで感染予防を目指すことは,変異株が発生するまでウイルスを培養しているようなものである.日本産の変異株の大量生産という結果を招きかねない.
海外で既に大量に使用されているイベルメクチン(ストロメクトール)やファビピラビル(アビガン)のような抗ウイルス薬を併用できれば,重症化率や死亡率の低下が実現出来ると考えられ,人々はコロナ肺炎を恐れなくてすむようになり,経済活動も再開できる.
ファビピラビル(アビガン)については,抗インフルエンザ薬だから効くはずがない,とか言う意見があるが,ファビピラビルはRNA ウイルスの RNA 依存性 RNA ポリメラーゼ(RdRp)を選択的に阻害する抗ウイルス薬である.また,催奇性を問題視する向きもあるが,高齢者に対して使用する分には問題は少ない.
Efficacy of favipiravir in COVID‑19 treatment: a multi‑center randomized study
があるので確認して欲しい.クロロキングループ48例,ファビピラビルグループ44例の小さな症例群である.対照グループも治療薬クロロキングループであり,少数の比較であるから,有意な差は出ていないが,数を増やせば,あるいは非治療を対照とすれば差が出たかもしれない.また,合併症を持つ患者がクロロキングループの12.5%に対してファビピラビルグループは25%も含まれていた.それでもファビピラビルグループは酸素飽和度の低下が少なく,人工呼吸器が必要になった症例が0であった.死亡はクロロキングループに2名,ファビピラビルグループに1名あったが,死因に関しては記載がない.呼吸障害がないのに何故亡くなったか,不明である.
現在,治療薬がある先進国で治療しない群を対照としたランダム化比較試験(Randomized controlled trial)を行う事は倫理的にほぼ許されない.今後,多数例のランダム化比較試験は難しいと思われ,感染後早期に投与することが有効なファビピラビルの効果を統計学的に示す研究は出てこないかもしれない.この論文はエジプトからである.
だからといって,抗ウイルス薬を除外して,ワクチンによる予防だけでは,コロナウイルス肺炎の征圧は難しく,時間もかかる.
コロナウイルスは人間以外のほ乳類や鳥類にも感染する.ヒトのコロナウイルスと他の動物のコロナウイルスは相互に感染することは少ないとされているが,今回のSars-cov2がどこから来たのか,という問いに,コウモリ(相同性約96%)やセンザンコウが挙げられている.ということは動物種間の相互感染は今後もないとは言い切れない,というより,変異により相互感染が起きるのは時間の問題であると思われる.
今回,日本で特例承認されたレムデシビルに対して,WHOは2020年11月,新型コロナウイルスの治療にレムデシビルを使用しないよう推奨している.このレムデシビルの前駆物質であるGS-441524 MUTIANは猫伝染性腹膜炎の治療薬である.猫伝染性腹膜炎の原因はコロナウイルスである.猫伝染性腹膜炎のコロナウイルスとSars-cov2は別物であるが,Sars-cov2はヒトからネコ,ネコからネコへの感染の可能性を示す報告が既にある.今後Sars-cov2の感染源にペットが含まれるようになると思われる.人獣共通感染症になると根絶は無理となる.ネコの体内でも変異株が生じるようになるとインフルエンザと似たような事になる.インフルエンザウイルスはカモからニワトリ,ブタを経て,ヒトへと感染するが,豚の体内で変化してヒトに感染しやすくなる.
やはり,治療薬を早々に準備する必要があると考えられる. -
ライン LINEのセキュリティに問題があること,つまり,韓国,中国に個人情報が漏れている可能性がニュースになっています.
比較的安全なラインの代替アプリとして,シグナル Signalがあります.私は暫く前から,Signalも使っています.
私に連絡を取る手段にラインを利用している方で,ラインを使うことに不安を感じている場合は,Signalでも可能です.
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コロナウイルスRNAワクチンの構造
RNAワクチンはどういう作りになっているのでしょうか? DRUGBANK の Pfizer-BioNTech Covid-19 Vaccineを見ると
Pfizer-BioNTech COVID-19ワクチンは、BNT162b2とも呼ばれ、mRNAベースのワクチンで,Tozinameran トジナメランというヌクレオシド改変されたRNAワクチン nucleoside modified mRNA (modRNA)である.RNAはSARS-CoV-2のスパイクタンパクの完全長のタンパク配列をコードしているとのこと.ちょっと物足りない.
英語版のWikipediaの Pfizer-BioNTech COVID-19 vaccine と
Reverse Engineering the source code of the BioNTech/Pfizer SARS-CoV-2 Vaccine
を参考にすると
ワクチンのmodRNA配列は4,284ヌクレオチドの長さで,次のような構造をしているらしい.
1.ヒトアルファグロビンの配列に由来する非翻訳領域の5’キャップ構造.
これにより,細胞内の人のmRNAとして認識され,翻訳の始まり部分を示します.
2.シグナルペプチド(塩基55〜102).
シグナルペプチドとはS glycoprotein signal peptideで,できあがったタンパクが何処に行けば良いかを示しているタグのようなもので,今回は,細胞内から小胞体を経由して細胞外に出るようにそのタグには書かれていることになる.
3.プロリン置換部2カ所(K986PおよびV987P、「2P」と言われている).
これはスパイクタンパクの膜融合部分の変更である.今回のワクチンタンパクは細胞外に放出される様に設計されているので,スパイクタンパクの根元の部分を上手く変更しないとできたタンパクが壊れたり,細胞膜にくっついたりしてしまう.そこでがスパイクが安定した構造となり、膜への融合力が低下し、発現量を増加させ、中和抗体産生への刺激が強くなるように変更してある.この変更が有効であることはSARS-CoV-1 や MERS のスパイク構造の研究で2017年に分かったことらしい.
4.SARS-CoV-2の完全長スパイクタンパクのコドン最適化遺伝子(塩基103-3879). 元のウイルスはUAA終止コドンを使用し、ワクチンは2つのUGA終止コドンを使用している.
5.3’非翻訳領域(塩基3880〜4174):タンパク質発現とmRNAの安定性を高めるためにAESとmtRNR1から選択された組み合わせ.
AESとは”Amino-terminal enhancer of split”という遺伝子らしい.
mtRNR1はMitochondrially encoded 12S ribosomal RNA ,12S rRNAと略される.
6.ポリ(A)テール(30個のアデノシン残基、10ヌクレオチドのリンカー配列、および70個のアデノシン残基を含む)
以上
良くできているように感じた.
Amino-terminal enhancer of splitという遺伝子の働きは翻訳調節に関係しているということであるが,具体的にはよく分からなかった.
このmRNAワクチンはlipid nanoparticles(脂質ナノ粒子)の中に入れられて,筋肉注射される.lipid nanoparticlesは実験的にはよく使われてきたが,人への使用が認可されたのは2018年で,OnpattroというsiRNA drugで使用された.
脂質粒子は細胞間を流れながら,細胞の脂質膜と融合して,細胞内に入り込むと思われる.
そして,細胞質内でスパイクタンパクを作らせ,分泌タンパクとして,小胞体から細胞外に放出されることになる.細胞膜表面にスパイクタンパクを作らせるものではないので,既存の身体の細胞に対する交差免疫応答が生じる可能性は低いと思う.
通常コロナ肺炎は,肺の細胞にとりつき,まず,ここで増殖が起きるが,ファイザーのワクチンは,注射部位を中心に脂質ナノ粒子が流れていった先のどの細胞でもスパイクタンパクを作る事になる.新型コロナワクチンの接種を受けた女性では,マンモグラフィーでの診断に影響するほどリンパ節腫脹が見られるらしいが,ワクチンが分布した身体の細胞が様々な場所で抗原タンパクを作るからであろう.
不活化ワクチンや組み替えタンパクワクチンは,タンパクを接種するので,接種されるタンパク量はどの人にも一定である.一方,mRNAワクチンやDNAワクチンは核酸を接種し,それが各自の身体の中でタンパク抗原を作ることになる.タンパクの産生量は,接種された核酸ワクチンの量にある程度比例するだろうが,その産生量は多い人や少ない人がでてくる.タンパク産生量が少ない人でも十分な抗原量になるようにワクチンの量を設定すると,予想外に多くの抗原が短期間に産生されてしまう人が出るのではないかと予想する.
ファイザーとモデルナのワクチンは共に90%以上の有効性があるとされているが,これが事実であれば,対象となったコロナウイルスのスパイクタンパクに対して,高い抗原感作が生じていると考えられる.ところが,コロナウイルスの抗原であるスパイクタンパクが変異した場合,現在のmRNAワクチンで誘導された抗体は不完全な効き方になる可能性がある.不完全な効き方とは,ウイルスの感染力を失わせる事ができないにも拘わらず,ウイルスに結合する能力が残っている状態である.この時,抗体依存性免疫増強(Antibody-Dependent Enhancement:ADE)が生じる.抗体依存性免疫増強は現在では抗体依存性感染増強と言われている.菊池中央病院の中川義久先生の 抗体依存性免疫増強とは が分かりやすい.
人は徐々に多くのテクノロジーを手に入れ,それを利用するようになる.今回のワクチンの製造方法も新しいテクノロジーとして社会に定着していくようになると思う.しかし,ワクチンに限らず,その方法が良い方法で予想しなかったような負の面を持っていないかどうかが分かるには時間がかかるのも事実である. -
今回のコロナウイルス感染症を引き起こすウイルスはSARS-CoV-2であり,感染症は新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) と命名されている.
その予防のためのワクチンはNHKのサイト(2020年12月8日 22時59分)やビジネスインサイダーのサイトに掲載ある.
ビジネスインサイダーのサイト(https://www.businessinsider.jp/post-223800)から,引用させていただくと以下のようになる.
弱毒生ワクチン
実用化事例:麻疹、風疹、BCGなど
新型コロナ用に開発中:コーダジェニックス社(米国)
不活化ワクチン
実用化事例:インフルエンザ、日本脳炎、ポリオなど
新型コロナ用に開発中: KMバイオロジクス(日本)、シノバック、シノファーム社(中国)など
組換えタンパク質ワクチン
ウイルスの構造の一部(タンパク質)を培養細胞や酵母を使って生産
実用化事例:B型肝炎、百日咳、破傷風など
新型コロナで開発中:塩野義製薬(日本)、ノヴァヴァックス社(米国)、サノフィ(仏国)など
ウイルス様粒子ワクチン
酵母などにウイルスの「殻」となるタンパク質だけを作らせ、遺伝子をもたない “ウイルス殻”を投与
実用化事例:HPVワクチン(いわゆる子宮頸がんワクチン)など
新型コロナで開発中:SpyBiotech社(英国)など
ウイルスベクターワクチン
無害なウイルス(アデノウイルスやセンダイウイルス)を新型コロナウイルスの遺伝子を運ぶ「運び屋(ベクター)」として利用する手法。
ウイルスとともに体内に運ばれた遺伝子からコロナウイルスのタンパク質が作られる
新型コロナで開発中:IDファーマ(日本)、アストラゼネカ社(英国)、ヤンセンファーマ社(ベルギー)、ガマレヤ疫学・微生物学研究所(ロシア)など
DNAワクチンは
新型コロナウイルスの遺伝子を含むDNAを直接投与し、体内で新型コロナウイルスのタンパク質を作らせる
ヒトの体内で適量なタンパク質を作れるか、また体内にDNAが残存する影響が不安視されている。
新型コロナで開発中:アンジェス社(日本)、ザイダスカディラ社(インド)など
RNAワクチン
ワクチンとして注入するときには脂質などでコーティングする必要がある
新型コロナで開発中の企業:第一三共(日本)、ファイザー社(米国)、モデルナ社(米国)など
現在最も使われているファイザーのワクチンやモデルナのワクチンはRNAワクチンである.中国で認可されているワクチンは,シノファームとシノバックのものであるが,これらは不活化ワクチンということらしい.
日本では,早い順に,アンジェスが作っているDNAワクチン,塩野義の遺伝子組み換えタンパクワクチン,KMバイオロジクスの不活化ワクチンが臨床試験に入っている.
DNA,RNAワクチンは早く作れ,不活化ワクチンは製造に時間がかかると言われているが,日本の3社の臨床試験の時期を見ればその通りである.中国のシノファームのワクチン接種は2020年の7月から医療関係者や感染リスクの高い人を対象にコロナワクチンの緊急接種プログラムを開始し,一般向けにも2020年12月31日から使用承認している.とても早い. -
今般,世界中の製薬会社がワクチン製造で競争する中,真っ先に世界規模での生産を立ち上げたのは,人体にRNAやDNAを打ち込むワクチンである.DNAやRNAは遺伝子の元である.ヒトやほ乳類を含む細菌までの生物は遺伝子としてDNAを持ち,身体の構造物や酵素は,DNA→RNA→タンパク質と情報を移して,生活している.この流れは,セントラルドグマと呼ばれる概念で,DNAの構造が決定されてからずっと信じられてきた.生物学の中心となる考え方とされていたのである.ところが,ウイルスの研究が進むと,遺伝子情報(ゲノム)としてRNAをもつウイルスが発見された.RNAゲノムを持つウイルス(RNAウイルス)の中には,自分のゲノムをヒトや動物の細胞のDNAに写し戻す逆転写酵素を持つものがあることも分かってきた.これをレトロウイルスという.エイズの免疫不全ウイルスはレトロウイルスである.コロナウイルスは一本鎖のRNAを持ち,そのゲノムRNAはそのままメッセンジャーRNA(mRNA:タンパク質の鋳型)として機能できるプラス鎖である.コロナウイルスは逆転写酵素は持っていない.
レトロウイルスは,感染した細胞(宿主細胞)内で自分のRNAをDNAに写し変え(転写し)て宿主細胞のDNAに組み込む.動物とレトロウイルスの遺伝子は互いに行ったり来たりしながら生物として進化してきた.私達の細胞ゲノムは,ウイルス由来のDNA配列が沢山含まれている.多くはガラクタのような配列であると考えられてきたが,それらがある時,遺伝子として働き始めたり,タンパクにまでは翻訳されないが,RNAとして他の遺伝子の発現に影響したり調整したりしていることが分かってきた(RNA干渉,microRNAなど).そして,レトロウイルスは宿主細胞の遺伝子配列にウイルス遺伝子を組み込んでしまうために,癌を発生させることも多い.後にラウス肉腫ウイルス(Rous sarcoma virus)と言われるようになる1本鎖RNAゲノムを持つレトロウイルスが始めて発見された腫瘍ウイルスであった.このウイルスはニワトリに肉腫を作るウイルスで,その原因となる遺伝子はv-Srcと呼ばれる.私が学生の頃に読んだ本には,ラウス肉腫ウイルスの発がんの本体はチロシンキナーゼである,と書かれていたと記憶している.Srcはタンパク質分子のチロシン残基をリン酸化するチロシンキナーゼという酵素の遺伝子である.この後,肉腫を持たない正常なニワトリにもv-Srcと似た配列の遺伝子があり,こちらはc-Srcといわれる.c-Srcは通常,細胞活性,細胞生存,細胞増殖,血管新生や細胞移動など,正常に個体が生きるために必要な機能を果たしているが,無秩序な機能亢進は,癌や腫瘍の発生,増殖に大きな役割を持つ.
私達の汗や唾液などにはRNAを分解するリボヌクレアーゼ(RNAase)が含まれている.血漿中にも高いRNAase活性がある.RNAaseはあらゆる生物が作っており,オートクレーブ処理でも完全に失活させることはできない.実験でRNAを抽出する時は,RNA分解酵素阻害剤の出番である.生物にとって,外界と自己の境界を破って身体に入ってくるDNAやRNAは多くの場合,病原体によりもたらされるので,生物は外来生の核酸を強力に無機能化しようとする.ショウジョウバエの自然免疫を司る受容体(Toll)が発見された後,ヒト(脊椎動物)にも同じ様なものがあることがわかり,これをToll-Like-Receptor;TLRと名付けた.TLRには幾つかの種類があるが,TLR9は細菌やウイルスのDNAに含まれる非メチル化CpGアイランドを認識し,TLR3は一本鎖RNAを認識することが分かっている. このような外来生の核酸はそれ自身が自然免疫を活性化するアジュバントとして作用すると思われる.
体液には強力なRNA分解酵素(リボヌクレアーゼ:RNAase)が含まれているので,普通だったら,注射されたRNAはすぐ分解されるはずであるが,ワクチンのRNAは何らかの方法で分解を免れるようになっていると思われる.
自らのDNA配列を移動させるものに転移因子LINE-1がある.LINE-1はレトロトランスポゾンと呼ばれる配列で、DNA配列をRNAに転写した後、再びDNAに逆転写して別の場所のDNA配列中に戻す.ヒトを含む多くの哺乳動物のゲノムに、RNAウイルスであるボルナウイルス由来の配列が存在するという.レトロウイルスではない通常のRNAウイルスは,DNAになることはないと考えられていた.しかし,宿主ゲノム中のレトロトランスポゾンが、ボルナウイルスの遺伝子をDNAにしているとの報告がある.
そして,コロナウイルスにおいても同じ事が起っている可能性がある.(SARS-CoV-2 RNA reverse-transcribed and integrated into the human genome :https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33330870/)
ワクチンとしてのDNAやRNAがゲノムに組み込まれるという証拠はまだないが,証拠がないから大丈夫とは言えない.逆にワクチンとして注射されたDNAやRNAがゲノムに組み込まれることはない,という証拠は全くない.色々な人が「ワクチンがあなたのDNAに入ることはありません.」と発言しているが,証拠は示していない.例えば,今提示したレトロトランスポゾンの働きを考えると,確率はそれほど高く無いだろうが,ワクチンとしての注射されたDNAやRNAが幾つかの細胞のゲノムに組み込まれることがあってもおかしくないと感じる.これまでの発見の歴史を見返すと,そんな事があるのか?!,と言うようなことが次々に発見されてきている.
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新型コロナウイルスの流行のため,社会生活が制限される中,予防の切り札としてワクチンが注目され,世界中で接種が始まっている.
ワクチンとは病原体から作られた抗原を前もって投与しておき,病原体の感染による病気に対して,身体が先んじて免疫体勢を整えるようにするものである.天然痘に一度かかるともうかからなくなることは昔からよく知られていた.天然痘の瘡蓋(かさぶた)を使って,ほんのちょっぴり感染させ,重病にならないようにするという方法があったが,天然痘のウイルスを使っているので場合によっては感染で死んでしまうことがあった.乳搾りの女性が,天然痘に似た牛の天然痘(牛痘)にかかると,ヒトの天然痘にかかりにくくなることに注目したエドワード ジェンナーが,牛痘の分泌物を少年に接種したのが,初めてのワクチンであるとされる.(イングランドの西部の諸州とくにグルスターシャーで見つかった病気で、牛痘の名で知られているウシ天然痘の原因および効果についての研究)
その後,有名なパスツールが,ニワトリコレラ菌を培養して弱毒化して接種する方法を発見している.ジェンナーの例では,牛痘を用いて,ヒトに対する毒性(感染性)の低い病原体を用いたことになり,パスツールの場合はは,培養を繰り返す事により毒性の低い病原体を得ている.弱毒生ワクチンというわけである.しかし,生ワクチンは感染することがあるので,病原体が毒性を取り戻した場合は困った状況になる.その後,病原体を何らかの方法で殺す(感染しなくする)ことにより.異物(抗原)として認識されるが感染性のないワクチンができた.これを不活化ワクチンという.インフルエンザのワクチンは不活化ワクチンである.
これまでのワクチンは,病原体の構造物,多くはタンパクを抗原にすることで免疫を惹起してきた.病原体が生きたままの弱毒生ワクチン,病原体が死んでいるが,ほとんどそのままの構造が残るのが昔からの製法で作られる不活化ワクチンである.最近は病原体の構造物の一部を遺伝子工学を用いて作るタンパク質ワクチンやペプチドワクチン,ウイルス様粒子ワクチンがある.ここまでは,基本的にウイルス構造の抗原性を持つ部分(タンパクやペプチド)を注射して免疫を賦活する.昔ながらの方法あるいはその変法である. -
2021年2月9日のことです.朝からよく晴れていましたが,早朝は水平線が霞んで島影ははっきりしませんでした.昼近くになって水平線近くの視界が良くなってきました.そして,久しぶりに屋久島が見えました. 屋久島と右に硫黄島が見えました.島の上の二つの黒い点は洋上を跳んでいる鳥です.
2枚目の写真では左前に竹島がよく見えます.2019年11月の 南薩研究(初回)島が見える の時よりもしっかり見えて屋久島の大きさが印象的です.
そしてこの日は夕方になっても島が見え続けていました.夕方の写真では硫黄島の右にかすかな島影が目言えます.
この方向に見えるのは,口永良部島のはずです.
夕刻になっても,こんなにしっかり屋久島が見えるなんて,素晴らしい日でした.
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YouTubeで音楽を聴いていて,ひこうき雲,が出てきた.
ひこうき雲は荒井由実のファーストアルバムにあり,そのアルバムの名前にもなっている.私が大学生の頃は,貸しレコード店が沢山あり,レコードを借りてきては,カセットテープに録音して聴いたものであった.
1975年,秋田県横手市でコンサートを行った時,本番前の自由時間に歩いた夕暮れの横手の坂道の雰囲気を昼間見たらこんな感じかなと思いながら,このひこうき雲を作ったと言う意味のことを,荒井由実自身が1976年のコンサートの中で語っている.
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若い頃,この曲を知った頃は,悲しそうな曲であまり好きではなかったような気がする.
(歌詞を記載していましたが,著作権に関するクレームにより削除します)
零式艦上戦闘機(ゼロ戦)の設計に携わった堀越次郎を描いた2013年の映画「風立ちぬ」(スタジオジブリ)の主題歌になって,改めて,この曲を聴くと,心に迫るものがある.しかし,
コンサート前の夕暮れの坂道を登りながら,何故このような歌詞が生まれたのだろうか.
あの子は,女の子だとばかり思っていたが,男の子だったのかもしれない.
坂を登れるくらいの状況から,若くして亡くなったとすれば,結核だったのか,心臓の病気だったのだろうか.
今,私たちがよく見る飛行機雲は,高空を飛ぶジェット機が作り出す場合が多い.大東亜戦争当時の書物を読んでも,あまり飛行機雲は出てこない.長く残る飛行機雲は,高高度で発生することが多く,2000mから5000mをと飛ぶレシプロエンジンの飛行機は飛行機雲を引くことは少なかったと思われる.
でも,風立ちぬを見てから,ゼロ戦もひこうき雲を引いていたんだろうな,そんな気になっている.
ユーミンの歌うひこうき雲が素晴らしいの言うまでも無いが,松浦亜弥が歌うひこうき雲も素晴らしい. -
今年の夏は暑く,太平洋高気圧が発達していたので夏の早い時期には日本列島に台風は来なかったが,海水温が上昇しているので,大きな台風がそのうち来るのだろうと思っていた.将にその台風が近づいている.2階の窓のシャッターがガタガタと音を立て,時折突風が家にぶち当たる音がしている.
本日は日曜日(2020/9/6),明日は月曜日.
思い出せば,高校生の頃,日曜日に接近する台風では,月曜日が休みになるかどうかが重要で,台風の緯度経度と進行方向,速さを百科事典の地図にプロットして月曜日の朝の台風の位置を予想するものであった.
そんな事している間に宿題をすれば良いものを,宿題よりも台風の予想を優先していた.
”よし,明日は休みだ.宿題は今夜はしなくていいな.” などと考えて翌朝を迎えると,朝7時頃には,台風一過の秋晴れが浅はかな若者を見下ろしていることが良くあった.
鹿児島あたりまで来ると,台風のその後のスピードは目に見えて早くなるのである.
気象庁データから https://www.jma.go.jp/jp/typh/201024l.html
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行ってみたいですね.水月湖
http://nipponia.satsumablog.com/Entry/42/
暫く前にグレタ・トゥーンベリさんの事を書きましたが,もっと長い目で気候を見ることも必要ですね. -
中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)に対するブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬
X連鎖無ガンマグロブリン血症という病気がある.X染色体上の遺伝子異常に起因する疾患で,B細胞の発生および成熟が進まず,成熟B細胞が欠如するため,男子乳児の扁桃は非常に小さく,リンパ節が発達しない.肺炎や副鼻腔炎,皮膚の可能性感染症の他,ウイルス性感染症にも罹患しやすい.この病態を発見したのは,Ogden Carr Brutonで,小児科医であり,ブルトン型無ガンマグロブリン血症とも呼ばれるこの疾病に名を残す免疫学者である.X連鎖無ガンマグロブリン血症の原因遺伝子はBTK 遺伝子で,ブルトン型チロシンキナーゼ (Bruton's tyrosine kinase)をコードしている.
中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)は,中枢神経内にのみ病巣を認める悪性リンパ腫で,現在の所,基本になっているのは,大量メトトレキサート(MTX)療法と全脳照射である.しかし,難治性のものが存在し,MTXの効果が不十分で,寛解に持ち込めない症例が存在する.
中枢神経系原発リンパ腫の多くを占めるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)はB細胞受容体からのシグナル伝達が活性化して増殖が生じている.B細胞受容体の下流には先のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)が存在する.
2020年5月20日,ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤であるチラブルチニブ塩酸塩「ベレキシブル(R)錠 80mg」が「再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫」の治療薬として発売された. -
I.初めに
脳神経外科の医師として、日常の診療に当たり、患者さんやそのご家族に話をしたり、また、医学部の学生に講義をしたりしていて気がついたことを書き留めておこうと思い、ここに文章を書き始める。よって、この文章の中身は、気楽な気持ちで書き下し、わざわざ文献を検索したりはしていない。であるから、私の頭に入りきらないような複雑な内容は当然出てきたりはしないのである。そのつもりで内容の不十分な点はご容赦願いたい。
II.頭の構造
頭の構造と大げさに構えてみても、難しく考える必要はない。外側から順番にたどっていきたいと思う。組織解剖学では無いので大まかな所が理解できれば良いのである。しかし、看護学校の学生に講義をしたりするとあまり良く理解してもらっていなかったり、また、患者さんやそのご家族には誤解されていることも結構あるのも確かである。
A.頭皮、皮下組織
頭と一口に言っても、何処を指しているのかあいまいなことがある。ここでは顔面を除いて、一般的に頭髪の生えている辺りを指すと思って頂きたい。まず、一番外側にあるのが頭皮である。ここには普通、頭髪が生えている。そして、体の他の場所と同じように皮下組織があり、血管が走っている。この皮下組織を含めた頭皮の厚さは人により違いがあり、頭の手術をすると厚い人や薄い人がある。そして、頭皮にも動脈と静脈があるが、他の部分に比べて血管が多いのが頭皮の特徴の一つである。そのため、頭を怪我すると傷は小さくても出血が多い。総頚動脈から外頚動脈という動脈が分岐してきて顔面と頭皮に血液を運んでくる。その外頚動脈から浅側頭動脈という動脈が、耳介(耳たぶ)の前方を上に向かって走っている。以前、硝子で耳の上辺りを切った男性が救急車で私のいた病院にやって来たことがあった。この患者さんは病院に着いたとき、かなり出血して、少々血の気が失せていた。彼は背広を丸めて傷口を押さえていたが、その背広は絞ると血液が滲み出すぐらいに出血していたのだ。この浅側頭動脈の太さも個体差があり太い人や細い人があるが、根本の方、つまり下の方で切れたりすると激しく出血する。うろうろしていると大出血するので、そのような時は傷口より心臓に近い所を圧迫して出血を防ぐのがよい。また、ある時は男の子が転倒して後頭部をほんの少し、怪我してきたことがあった。圧迫していたら血が止まったので、子どものお母さんが、消毒のため傷を見ようとして髪の毛をかき分けて傷口を出したとたん、急に出血してびっくりして来られたとのことであった。この時の傷は3mm位の小さなものだった。珍しいことだが、まるで狙いすましたようにちょうど後頭部の動脈が切れていた。
このように頭部の皮膚、皮下組織は血管が豊富なため怪我をすると激しく出血し、また打撲によりコブができやすい。頭を打ったりしてできるコブは全部同じような気がするが、実はいくつかの種類がある。頭皮から下に向かって皮下組織が有り、場所によっては筋肉につながる帽状腱膜という腱膜があり、その下が骨膜、頭蓋骨となっている。
普通、柱にぶつかったりして、皮下組織などの軟部組織が挫傷し、組織内に出血して腫れてくるコブがあるが,これが一つめの良く見られるコブであり、これはできてしまったら、放置するしかない。こう言うと無責任に聞こえるが放置しても体裁が悪いぐらいで、あまり心配いらない。
2番目の種類のコブはブヨブヨしたコブである。これは先に説明した頭皮以下の構造物である帽状腱膜と骨膜との間などの結合が弱い所に血が溜まってしまったものである。このタイプのコブは触ると軟かく、血腫周辺部から内側にかけて頭蓋骨が陷没しているように感じられるが、実際は陷没骨折など無いことのほうが多い。コブ内容は血腫であり、注射器で中身を吸い出すと小さくなる。
3番目に、頭蓋骨外側の骨膜と頭蓋骨の間に血腫ができるコブもあるが、あまり多くない。骨の縫合線を越えて広がらないのが,3番目のコブの特徴でもある.分娩の時に骨膜下に出血する頭血腫といわれるものは,このタイプである.
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1月の終わりから2月にかけて,コロナウイルス肺炎が大陸で猛威を振るっているところ,このホームページ,ブログのサーバー障害に見舞われていました.
本日,アクセス可能になりました.
ご迷惑をお掛けしました. -
令和になって初めてのお正月ですね.昨年は平成31年の元旦でしたから,令和元年の元旦がなくて,令和2年の元旦です.
年末というか,年始から,カルロス ゴーン被告が保釈中に日本を脱出し,レバノンから声明文を発表し,驚きの正月ですが,経由地とされるトルコが日本より早く関係者を拘束したり,レバノンの弁護士グループがゴーン被告を「イスラエルに入国した罪」で告発したりと,どうなってしまうのでしょうか.
今年も目まぐるしい世界の様子ですが,私たちはじっくりとやるべき事をやりましょう. -
島はいくつもあるので,この際,どれがどの島か,はっきりさせようと思い,グーグルマップと島々の地形図を参考に同定してみました.
屋久島の東側(写真左側)はぼんやりとかすみながら境界が分かりません.地図と島影の縮尺から考えると,見えていないようです.東側は高度が低いためかもしれません.地図上は大隅半島の向こうに種子島があるはずですが,こちらは全く見えません.
屋久島,見えるんですね.九州で一番高い山(宮之浦岳 1936m)を擁するだけのことはありますね. -
出勤途中の朝,枕崎に近づくと高台から海がよく見えます.そして天気が良いときは,島が見え,いい気分になります.「天気がいい日には,屋久島が見える」と言われながら,見る事のできなかった屋久島が見えました.
2019年11月1日の朝です.病棟回診していて,南の海の水平線を見ると「ん!何だ,これは」って感じでした.たまに見える島の向こうにもモヤッとした雲のような大きな影があり,ジーッと見ていると山の頂が二つ見えたのです.
この写真は,病院の7階からiPhoneで撮影したものです.
もしかして,ここが屋久島の西端? 大きい.屋久島は想像していた以上に大きいものでした.
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最近,人は行動で判断される.あなたの思考の中身なんかに他人は興味ない,という話を聞いた.
この一年間,風車と太陽光パネルの張られた土地を見ながら通勤する.職場でちょっとした朝のスピーチをすることになって,ネタを探していた.
今から話す話は,受けないから,止めるべき,と妻に反対された.それは,国連温暖化サミットで、スウェーデンの16歳の少女、グレタ・トゥーンベリさんの演説のことだ.
CO2を排出する化石燃料を使うべきでない.彼女は,激しい口調で各国の代表を非難しました.
あなたは,彼女演説のニュースを,どう思いましたか.
小泉環境相は「強烈だった。重く受け止めた」と話したそうである.
何故,彼女はそれまで無名だったのに,ニューヨークで各国の代表達を前に演説することができたのでしょうか?
彼女はヨーロッパからヨットでアメリカに渡ってきました.誰がお金を出したり,それをマネージしてくれたりしたのでしょうか?
そもそも,彼女の主張,CO2が地球温暖化の原因である,ということは正しいことなのでしょうか?
実は最終氷期が終わる約1万年前から現在までの最も暖かい時期は,20世紀の気温よりも暖かかったといわれています.
地球の気温は,地球の軌道,太陽からの距離,それから自転軸の傾き(私たちは理科で23.4度と習った)の変動によるとも言われています.
他にも太陽活動の強弱,大陸移動による大陸の形状などが影響し,現代人の排出するCO2の影響は誤差の範囲だという研究結果もあります.
さて,グレタさんにお金を出し,この演説の手はずを整えたのは,誰か,ですが,スウェーデンの環境NGO団体と再生エネルギー関連企業であるとのことです.その団体の目的は,地球温暖化で人類が滅びると恐怖を煽り,ヨーロッパの原子力発電所と火力発電所を停止させ,再生エネルギーに各国政府の補助金を出させることであるとのことです.
妻に反対されたので,この話は止めようと思ったが,朝のニュースで,緑の党 オーストリア 選挙で大勝を聴き,考えているだけではだめだと思った.それで,やはりこの話をスピーチのテーマにした訳.
先日タクシーに乗ったら,“今日から消費税が上がりますね.国の借金が1000兆円で,国民一人あたり900万円の借金になり,経済が破綻するから増税することになったんですよね,”と運転手.
でも本当は国の借金は政府発行の国債であり,国民が銀行預金や保険や年金基金を介して国債を買っているのであるから,国民一人あたり,政府に900万円貸しているということである.
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5月1日 令和元年が始まりました.
自分は,平成元年,令和元年を経験したことになります.
平成への改元は,昭和の天皇陛下崩御に伴う改元でしたから,大喪の雰囲気の中,静かなものだったように記憶しています.
今回は,そうではないので,そこそこ,お祭りのような雰囲気がありましたね.
世間は連休も後半に入っていますが,私の連休は業務をはさんでの,飛び石でした. -
平成31年,2019年が始まりました.
平成最後の年です.
平成も30年あったんですね.ついこの前に始まったような気がしているのは,私が年をとったためかもしれません.
元気で,家族と年越しを迎えられたことに感謝です.幸福かどうかは,個人の心次第,心の持ち方であると共に,脳内化学環境の生来の質による,というようなことを昨年聞きましたが,そのような考え方によると,私は結構見込みのある質のようです.
皆様,今年もよろしくお願いいたします.
年賀状が遅くなりました.年末に風邪をひいたり,年賀状データが消えてしまったり...色々あって...御免なさい.
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脳内に発生してくる悪性リンパ腫には,中枢神経原発の悪性リンパ腫と全身性のびまん性悪性リンパ腫の脳内転移の両方が含まれている可能性がありますが,①で触れたように,眼内リンパ腫として発見されるものがあります.視神経と眼球は脳に繋がっていますので,眼内リンパ腫が発見された場合は,その後,脳内にリンパ腫が発生してくる可能性があると考えられます.
眼内リンパ腫が発見され,その時点で画像上は脳にリンパ腫が存在しなくても,後日顕在化してくる場合があります.
脳内の悪性リンパ腫はMRI画像上は様々な形を示します.塊の腫瘍であったり,びまん性に広がる病変であったりします.眼内リンパ腫が確認された場合は,頭蓋内のMRI検査を行う方が良いと思います.脳内の悪性リンパ腫は,造影MRIで増強効果を示すことが多いのですが,小さい場合やびまん性に広がる初期の病巣では増強効果を示さないこともあります.MRIの拡散強調画像(DWI)で高信号(白く見える)であることも悪性リンパ腫の特徴の1つですが,これも全てと言うわけではありません.
眼内リンパ腫が確認された場合は,造影T1強調画像に加え,DWI,FLAIR(fluid attenuated inversion recovery)画像を組み合わせて確認し,病変が見られない場合は,造影剤を使わないDWIとFLAIR画像を経時的に撮影し,その変化を比較しながら経過観察を行うのが良いと思います.
悪性リンパ腫は経過の早い(悪くなるのが早い)疾患ですから,油断せずに検査を行うことが,必要です. -
身体の他の部分に発生したことがなく,脳(中枢神経)に初めて発生する悪性リンパ腫を中枢神経原発悪性リンパ腫( primary central nervous system lymphoma: PCNSL)と言います.
なぜ,身体の他の部分に発生したことがなく,と断っているかと言いますと,悪性リンパ腫は,身体のどこにでもできるからです.中枢神経系に発生する前に,腸などに発生したことがあれば,それが脳に転移して来たのかもしれませんから,中枢神経原発と断定できなくなります.
では,なぜ,中枢神経原発の悪性リンパ腫を,わざわざ別扱いにしているのかと言いますと,中枢神経(脳や脊髄)に発生してくる悪性リンパ腫は,他の部分に発生してくる悪性リンパ腫と比べて予後が良くないからです.
脳腫瘍全国集計調査によりますと,この脳に発生してくる悪性リンパ腫は徐々に増えてきています.2001年から2004年分の集計によりますと,原発性脳腫瘍の中で,多い方から5番目に入ってきています.原発性脳腫瘍の3.6%を占めていおり,高齢化による影響を受けているのかもしれません.
中枢神経原発悪性リンパ腫は,Bリンパ球が増殖するものがほとんどで,組織学的には,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma: DLBCL)と呼ばれています.
発症した場合,進行は早く,麻痺や高次脳機能低下(いわゆる認知症)で発症することが多いようですが,脳のどこにでもできるので,神経症状としては何でもあり得ると考えられます.
視神経は脳の延長であり,網膜につながっています.そのため,中枢神経原発悪性リンパ腫は眼内リンパ腫として発症することや,眼内リンパ腫を伴っている場合があります.視力低下として自覚される場合が多く,眼の検査でぶどう膜炎の状態と診断されることがよくあります.
腫瘍性のリンパ球が,脳に散らばるように増える場合と,ある程度まとまった塊として増殖する場合がありますが,MRIなどの画像上,塊として確認されても,かなりの腫瘍細胞が広い範囲にびまん性に広がっています.よって,手術のみで完治できません.手術では,しっかりと診断を付けることが重要になります.
進行が早く,数日でかなり病状が悪化することもあります.診断と治療を急ぐ必要がある脳腫瘍です.(続く) -
台風が2つ通り過ぎ,やや涼しくなってきました.
wordpress.comのフリープランでページを開いてみましたが,取り扱いに不都合な点があるため,新しくここにブログを開くことにしました.