produced by 平野宏文 Hirofumi Hirano a neurosurgeon, to communicate with his patients and friends

脳神経外科医 平野宏文のサイト

脳神経外科医 平野宏文のウェブサイトです. 医師として,また,個人として,私と関係ある人々とのコミニュケーションを図るための場所です.                            脳神経外科に関連する疾患についても記載していこうと思います.

2023年9月のHPの記録
9月になりました.夏祭りの花火も終わり,木陰では涼しさを感じます.
世間では,多核種除去設備ALPSで放射性物質を除去した処理水の海洋放出に対して,様々な事が言われていますが,私は妥当な方法であると考えています.
汚染水の中の各種放射性物質は,ALPSにより沈殿,吸着で国の基準値以下になりますが,トリチウムだけが除去できません.トリチウムとは,三重水素で,水素の同位体です.だからトリチウムは水分子の中の水素の一部分と入れ替わっている状態で存在し,化学的性質は水と同じなため,吸着や沈殿ができません.
トリチウムは自然界でも宇宙から降りそそぐ宇宙線粒子により地上で作られ続けており,一方,半減期12.32年で崩壊し続けています.トリチウム水は,普通の水と同じ化学的性質なので,生物の中に入っても,普通の水と同じように自然に出ていきます.よって,太平洋の大量の水で十分に薄めれば,問題ないレベルまで低下します.有機水銀や他の化学物質のように魚介類に蓄積され濃縮されることはないと考えられます.一部の人が,この汚染水は核燃料棒に接触したものだから特別だということを主張していますが,多核種除去設備ALPSで処理してあるので,その主張は,科学的にあまり意味のないことです.意味があるとすれば,気持ちの問題ではないかと思います.

令和5年9月

コメント

コメントを書く
Hirofumi Hirano MD, PhD, Department of Neurosurgery