produced by 平野宏文 Hirofumi Hirano a neurosurgeon, to communicate with his patients and friends

脳神経外科医 平野宏文のサイト

脳神経外科医 平野宏文のウェブサイトです. 医師として,また,個人として,私と関係ある人々とのコミニュケーションを図るための場所です.                            脳神経外科に関連する疾患についても記載していこうと思います.

悪性リンパ腫について②
脳内に発生してくる悪性リンパ腫には,中枢神経原発の悪性リンパ腫と全身性のびまん性悪性リンパ腫の脳内転移の両方が含まれている可能性がありますが,①で触れたように,眼内リンパ腫として発見されるものがあります.視神経と眼球は脳に繋がっていますので,眼内リンパ腫が発見された場合は,その後,脳内にリンパ腫が発生してくる可能性があると考えられます.
眼内リンパ腫が発見され,その時点で画像上は脳にリンパ腫が存在しなくても,後日顕在化してくる場合があります.
脳内の悪性リンパ腫はMRI画像上は様々な形を示します.塊の腫瘍であったり,びまん性に広がる病変であったりします.眼内リンパ腫が確認された場合は,頭蓋内のMRI検査を行う方が良いと思います.脳内の悪性リンパ腫は,造影MRIで増強効果を示すことが多いのですが,小さい場合やびまん性に広がる初期の病巣では増強効果を示さないこともあります.MRIの拡散強調画像(DWI)で高信号(白く見える)であることも悪性リンパ腫の特徴の1つですが,これも全てと言うわけではありません.
眼内リンパ腫が確認された場合は,造影T1強調画像に加え,DWI,FLAIR(fluid attenuated inversion recovery)画像を組み合わせて確認し,病変が見られない場合は,造影剤を使わないDWIとFLAIR画像を経時的に撮影し,その変化を比較しながら経過観察を行うのが良いと思います.
悪性リンパ腫は経過の早い(悪くなるのが早い)疾患ですから,油断せずに検査を行うことが,必要です.

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Hirofumi Hirano MD, PhD, Department of Neurosurgery