•政府が公共事業のため新規国債を発行した場合,市中銀行(以下銀行)が購入するが,この時の代金は国民の貯蓄として集めたお金ではない.ここが最も重要で,且つ人々が誤解しているところである.
•日銀には政府の日銀預金や銀行の日銀当座預金がある.銀行の日銀当座預金のお金は日銀が供給したもので,日銀が銀行の当座預金に書き込んだ万年筆マネーあるいは,キーボードで打ち込んだ数字である.これも国民の貯蓄として集めたお金ではない.政府が新規国債を発行する過程を,建部正義「国債問題と内生的貨幣供給理論」商学論纂(中央大学)第55巻第3号(2014年3月)のp599から引用する.
① 銀行が国債(新発債) を購入すると,銀行保有の日銀当座預金は,政府が開設する日銀当座預金勘定に振り替えられる,
② 政府は,たとえば公共事業の発注にあたり,請負企業に政府小切手によってその代金を支払う,
③ 企業は,政府小切手を自己の取引銀行に持ち込み,代金の取立を依頼する,
④ 取立を依頼された銀行は,それに相当する金額を企業の口座に記帳する (ここで新たな民間預金が生まれる) と同時に,代金の取立を日本銀行に依頼する,
⑤ この結果,政府保有の日銀当座預金(これは国債の銀行への売却によって入手されたものである) が,銀行が開設する日銀当座預金勘定に振り替えられる,
⑥ 銀行は戻ってきた日銀当座預金でふたたび国債(新発債)を購入できる,
⑦ したがって,銀行の国債消化ないし購入能力は,日本銀行による銀行にたいする当座預金の供給の仕振りによって規定されている.
この本より引用
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