produced by 平野宏文 Hirofumi Hirano a neurosurgeon, to communicate with his patients and friends

脳神経外科医 平野宏文のサイト

脳神経外科医 平野宏文のウェブサイトです. 医師として,また,個人として,私と関係ある人々とのコミニュケーションを図るための場所です.                            脳神経外科に関連する疾患についても記載していこうと思います.

ワクチンとコロナウイルス など 1
新型コロナウイルスの流行のため,社会生活が制限される中,予防の切り札としてワクチンが注目され,世界中で接種が始まっている.
ワクチンとは病原体から作られた抗原を前もって投与しておき,病原体の感染による病気に対して,身体が先んじて免疫体勢を整えるようにするものである.天然痘に一度かかるともうかからなくなることは昔からよく知られていた.天然痘の瘡蓋(かさぶた)を使って,ほんのちょっぴり感染させ,重病にならないようにするという方法があったが,天然痘のウイルスを使っているので場合によっては感染で死んでしまうことがあった.乳搾りの女性が,天然痘に似た牛の天然痘(牛痘)にかかると,ヒトの天然痘にかかりにくくなることに注目したエドワード ジェンナーが,牛痘の分泌物を少年に接種したのが,初めてのワクチンであるとされる.(イングランドの西部の諸州とくにグルスターシャーで見つかった病気で、牛痘の名で知られているウシ天然痘の原因および効果についての研究

その後,有名なパスツールが,ニワトリコレラ菌を培養して弱毒化して接種する方法を発見している.ジェンナーの例では,牛痘を用いて,ヒトに対する毒性(感染性)の低い病原体を用いたことになり,パスツールの場合はは,培養を繰り返す事により毒性の低い病原体を得ている.弱毒生ワクチンというわけである.しかし,生ワクチンは感染することがあるので,病原体が毒性を取り戻した場合は困った状況になる.その後,病原体を何らかの方法で殺す(感染しなくする)ことにより.異物(抗原)として認識されるが感染性のないワクチンができた.これを不活化ワクチンという.インフルエンザのワクチンは不活化ワクチンである.

これまでのワクチンは,病原体の構造物,多くはタンパクを抗原にすることで免疫を惹起してきた.病原体が生きたままの弱毒生ワクチン,病原体が死んでいるが,ほとんどそのままの構造が残るのが昔からの製法で作られる不活化ワクチンである.最近は病原体の構造物の一部を遺伝子工学を用いて作るタンパク質ワクチンやペプチドワクチン,ウイルス様粒子ワクチンがある.ここまでは,基本的にウイルス構造の抗原性を持つ部分(タンパクやペプチド)を注射して免疫を賦活する.昔ながらの方法あるいはその変法である.

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Hirofumi Hirano MD, PhD, Department of Neurosurgery