produced by 平野宏文 Hirofumi Hirano a neurosurgeon, to communicate with his patients and friends

脳神経外科医 平野宏文のサイト

脳神経外科医 平野宏文のウェブサイトです. 医師として,また,個人として,私と関係ある人々とのコミニュケーションを図るための場所です.                            脳神経外科に関連する疾患についても記載していこうと思います.

新型コロナ肺炎 COVID-19 について思うこと
武漢で始まった新型コロナ:SARS-CoV-2によるコロナ肺炎(新型コロナウイルス感染症 COVID-19)の蔓延は未だにおさまらない.
ワクチンができてきたが,スパイクタンパクに対する抗体産生を誘導するワクチンはスパイクタンパクの変異が生じると効果がなくなる可能性がある.
考えてみれば,インフルエンザウイルスに対するワクチンも毎年作り直しており,良く効く年もあれば,効かない年もある.コロナウイルスは元々風邪を引き起こすウイルスの一つと認識されていたもので,たぶん今後,毎年違った抗原性のものが出てくる可能性が高いのだろう.
となると,現在ワクチンを打ったとしても,暫くすれば効かなくなる.
インフルエンザも暫く前まで,ワクチンしかなかったが,タミフルを始めとする抗インフルエンザ薬ができて,肺炎を起こすまで悪化する事が減っている.
一方,コロナウイルスに対しては,アビガンやイベルメクチンと言った日本でできた薬があるにも拘わらず,国から認可されず,日本国民は外国のワクチンを打つ順番を待っている.

 
ここにイベルメクチンの効果を示す報告がある.上の画像をクリックすれば論文にリンクされている.

バングラデシュで2020年の4月から6月にかけて325例の連続する患者のうち,他に合併症のない成人COVID-19患者248例のについての報告である.
115例にイベルメクチンを投与し,133例にはイベルメクチンを投与していない.イベルメクチンは入院後24時間以内に12mgを1回だけ投与している.
12mgという投与量は体重60Kgの場合の駆虫薬としての標準量であり,これまで普通に使われている量で,特別大量投与したわけではない.
以下にTable1に示されている結果の部分を示す.

左列のIvermectin – no. (%)  イベルメクチン 数(100%)
とある方がイベルメクチン投与群で,右の - の列が非投与群である.
Antipyretic drugは解熱剤,
Antihistamine drugは抗ヒスタミン剤,
Antibioticは抗生物質
Required oxygen inhalationは酸素吸入が必要,
Developed moderate respiratory distressは呼吸困難になった,
Developed pneumoniaは肺炎になった.
Ischemic strokeは虚血性卒中,脳梗塞のこと,
Required intensive care managementはICUなどに入る必要があったこと
Duration of viral clearanceはウイルスが消失するまでの期間
Duration of hospital stayは入院期間
Recovered and dischargedは回復して退院した
Deathは死亡

以上をから,抗生物質投与が必要になる人が少なく,酸素吸入が必要になる事も少なく,肺炎,呼吸困難になることも少なく,ウイルスが早期に消失し,死亡者も少ない,という結果である.

この研究はProspective, double-blind, randomized, placebo-controlledの研究ではないが,治療前の患者の状態は2群の間に大きな差は無いようにみえる.

また,イベルメクチンによる大した合併症はなかったとのことである.

イベルメクチンによる,ウイルス増殖抑制に関しては,早くにin-vitro 試験管内の研究報告があったが,実際の生体での治療濃度にするためには,大量投与が必要になるのではないかとの見解もあった.しかし,実際に通常投与量でかなり良好な結果が得られている.このためには,早期投与が重要であると思われる.PCRでコロナウイルス感染が確認されたら,早々に内服するようにすれば,重症化することもなく,早期に回復すると考えられる.

日本の現状では,PCRでコロナ陽性になっても,病院やホテルや自宅で隔離するだけで,重症化しなければ治療していない.これでは,体内でウイルスが増殖するため,変異株の発生率が高くなってしまう.ワクチンだけで感染予防を目指すことは,変異株が発生するまでウイルスを培養しているようなものである.日本産の変異株の大量生産という結果を招きかねない.
海外で既に大量に使用されているイベルメクチン(ストロメクトール)やファビピラビル(アビガン)のような抗ウイルス薬を併用できれば,重症化率や死亡率の低下が実現出来ると考えられ,人々はコロナ肺炎を恐れなくてすむようになり,経済活動も再開できる.

ファビピラビル(アビガン)については,抗インフルエンザ薬だから効くはずがない,とか言う意見があるが,ファビピラビルはRNA ウイルスの RNA 依存性 RNA ポリメラーゼ(RdRp)を選択的に阻害する抗ウイルス薬である.また,催奇性を問題視する向きもあるが,高齢者に対して使用する分には問題は少ない.

Efficacy of favipiravir in COVID‑19 treatment: a multi‑center randomized study
があるので確認して欲しい.クロロキングループ48例,ファビピラビルグループ44例の小さな症例群である.対照グループも治療薬クロロキングループであり,少数の比較であるから,有意な差は出ていないが,数を増やせば,あるいは非治療を対照とすれば差が出たかもしれない.また,合併症を持つ患者がクロロキングループの12.5%に対してファビピラビルグループは25%も含まれていた.それでもファビピラビルグループは酸素飽和度の低下が少なく,人工呼吸器が必要になった症例が0であった.死亡はクロロキングループに2名,ファビピラビルグループに1名あったが,死因に関しては記載がない.呼吸障害がないのに何故亡くなったか,不明である.

現在,治療薬がある先進国で治療しない群を対照とした
ランダム化比較試験(Randomized controlled trial)を行う事は倫理的にほぼ許されない.今後,多数例のランダム化比較試験は難しいと思われ,感染後早期に投与することが有効なファビピラビルの効果を統計学的に示す研究は出てこないかもしれない.この論文はエジプトからである.
だからといって,抗ウイルス薬を除外して,ワクチンによる予防だけでは,コロナウイルス肺炎の征圧は難しく,時間もかかる.

コロナウイルスは人間以外のほ乳類や鳥類にも感染する.ヒトのコロナウイルスと他の動物のコロナウイルスは相互に感染することは少ないとされているが,今回のSars-cov2がどこから来たのか,という問いに,コウモリ(相同性約96%)やセンザンコウが挙げられている.ということは動物種間の相互感染は今後もないとは言い切れない,というより,変異により相互感染が起きるのは時間の問題であると思われる.
今回,日本で特例承認されたレムデシビルに対して,WHOは2020年11月,新型コロナウイルスの治療にレムデシビルを使用しないよう推奨している.このレムデシビルの前駆物質であるGS-441524 MUTIANは猫伝染性腹膜炎の治療薬である.猫伝染性腹膜炎の原因はコロナウイルスである.猫伝染性腹膜炎のコロナウイルスとSars-cov2は別物であるが,Sars-cov2はヒトからネコネコからネコへの感染の可能性を示す報告が既にある.今後Sars-cov2の感染源にペットが含まれるようになると思われる.人獣共通感染症になると根絶は無理となる.ネコの体内でも変異株が生じるようになるとインフルエンザと似たような事になる.インフルエンザウイルスはカモからニワトリ,ブタを経て,ヒトへと感染するが,豚の体内で変化してヒトに感染しやすくなる.
やはり,治療薬を早々に準備する必要があると考えられる.

コメント

コメントを書く
Hirofumi Hirano MD, PhD, Department of Neurosurgery